みかんがみっかんない

無力なアタシの、不甲斐ない毎日。

尾崎豊的愛おしさの男に翻弄されたい

 
 
私は潜在意識に、「ダメ男に振り回されたい」という願望がある。
 
それでは幸せになれないと理屈ではわかっていながらも、やっぱり惹かれるのはそういう男性ばかりである。
 
 
 
フライパンと付き合っていた時、私と彼は高校生であった。(※前記事参照)
彼はある日言った。
 
「原付の免許をとる」
 
そしてその台詞が意味する真髄とは、「受験料を貸してほしい」ということである。
 
 
私たちは地元の中途半端な進学校に通っていて、中途半端な進学校とは、これまでは可もなく不可もない普通の公立高校だったけれど、レベルを上げるべく教育に熱心に取り組んでいるがまだまだ入学してくる生徒のレベルはピンキリで、厳しい校則も守る生徒と守らない生徒の差があるというような高校。
 
アルバイトを禁じられていたため、私たちはあまりに貧乏でいつも下校時にポテトのMを半分こしているような日々に、何が「原付の免許をとる」だよという感じだった私を納得させた台詞が、「10000円貸して」だった。
 
 
私は貯金していたお年玉から彼に10000円を渡し、教習所へと見送った。
 
 
まあその後、彼が原付に乗っている姿など1度も見たことがないのでなぜ免許をとったのかはいまだに「?」である。
 
 
それから彼は「やばい。10000円返す金がない。バイトしよう」と言い出し、地元のマクドナルドでバイトを始めた。
彼は一緒に住んでいる祖母が厳しいらしく、極秘でバイトをするべマクドナルドの制服をいつも私が自宅で洗濯して届けてあげていた。
 
 
そして訪れた給料日。
 
「まずはパーッと使わないとね!」
 
まずは借りた金を返すだろ、とは言えず私と彼はカラオケへ行った。割り勘で。
私たちは来る日も来る日もカラオケへ行った。割り勘で。
 
お世辞にもうまいとは言えない彼のカスカスのEXILEを聴きながら、私はいつもメロンソーダとカルピスを割ったソフトドリンクをすすっていた。
貸した10000円が返済されたのは、おそらく1年以上も後のこと。
 
 
なぜそんな彼のことが好きだったのか。
 
 
彼には心の闇があった。
 
 
彼は小学校低学年の頃に、両親が出て行ってしまい親戚の家で育ったと言う。
 
「迎えに来るからね」という母親の言葉をずっと信じ、いまだに待ち続けていると言うのだ。
そんな彼の生い立ちに私は胸を鷲掴みにされ、「私が支えてあげなくちゃっ」と思ったのだった。
ダメ女の典型例である。
 
 
少し陰があるというか、トガッているというか。
そういった類の男性のことを、私は「尾崎豊的愛おしさの男」と呼びたい。
 

f:id:f_____min:20170406083626j:plain

お~まいりるが~る
 
 
 
「昔、父さんと母さんといっしょに住んでいた家に行けば会えるかもしれない」
 
ある時彼はそんなことを言い、私たちは小銭をかき集めてふたりぶんの交通費を工面し、2時間ほどかけて彼の故郷へと出向いた。
 
しかし彼が幼いころ住んでいたアパートには、もう別の人が住んでいた。
 
こんなエピソードはもう駄目である。反則。
きしむベッドの上で優しさ持ち寄って、きつく躰抱きしめあいたい
 
尾崎豊的愛おしさが溢れる瞬間である。
 
 
原付の免許が取りたいと言われた時、私がなんの疑いもなく10000円を貸したのは、盗んだバイクで走り出す夜に誘われることを期待していたからなのかもしれない。
 
しかしバイクを盗めるほど根性が座っていないのが、平成生まれの良いところだ。
 
 
私が、誘われるがままに毎日カラオケに通っていたのは、愛すべきものすべてに歌う彼のシェリーになりたかったからなのかもしれない。
 
 
その後、彼は様々なツテを辿ってなんと父親と連絡がとれたのだった。
 
そして彼の大学進学への費用を援助してくれると言う。
 
 
高卒で働くか・・・というような状況だったので、現在の学歴至上主義の世の中で少しでも有利になる大学進学を私はおおいに喜んだ
 
だけどそうやって進学した大学も、単位が足りないとかで中退するから本当にただのクズだったんだけど。