みかんがみっかんない

無力なアタシの、不甲斐ない毎日。

山田コンプレックス

 
私の苗字は山田である。
 
 
この世にはこんなにも魅力的な漢字で溢れているのに、あえて山田なのである。
 
 
山田といえば学生のころから学年に2人以上いたし、今の会社には私含め2人、そして私が4月15日で退職するのに合わせて新しく山田さんが入社してくるらしいので、今後も継続して2山田で保たれるようだ。
 
 
ワタナベさんとかサイトウさんみたいな、「難しいほう」の漢字がある苗字にかつて憧れた。
ある日、妹と「難しいほうの山田、考えよう」ということになった。
 
 
発表します。
 
 
「矢真田」
 
 
やっぱり苗字となると「駄」「堕」「唾」は不適切なイメージがあるので、結局「田」に落ち着いてしまった。
しかも「難しいほう」というテーマだったはずなのに、全然難しくなれなかった。
 
私たち姉妹は、次の日にはこのやり取りさえ忘れていた。
 
 
 
ある時、「え~山田っていう苗字なんだ!意外!」とイケメンに言われたことがあった。
 
・・・意外?
どうやら私は「山田らしくない」ようだ。
 
では、山田らしいとは?
自意識過剰な私は、それから山田らしさについて自問自答をする日々。
 
イケメンに言われた、というのも大きな要因だったと思う。
イケメン効果、イケメンのひと言は絶大、イケメンの行動はまわりの行動を変えるのである。
 
 
「意外!」-イケメンの台詞をなんども反芻する。
 
山田らしさ、山田らしさ、山田らしさ・・・
 
 
山田という苗字は、契約書や登録書類の「記入例」によく用いられる。
つまり、「え~珍しい~」とは絶対にならない、誰もが知っている昔ながらのオーソドックスな苗字ということ。
「THE 日本人」、「日の丸代表」ということ。
 
日本人というのはもともと農耕民族であり、畑を耕し米や芋を食べて質素に暮らしていた人種である。
そんな日本人の、典型例ということである。
山と田んぼ、その漢字から構成されるに先祖は百姓であったことが想像できる。
 
 
さらに、画数が少なく、そして湾曲やはらいもない、きっとどんなに字の下手な人が書いてもそれなりにバランスのとれた字が書ける。
つまり、易しい。
易しさのレベルで言うと、お粥。二日酔いとか、胃が痛いときとかの味方。
 
 
以上の内容を集約し、「山田」という苗字から連想される世間一般のイメージは、おそらく「田舎っぽい」「垢抜けない」「地味」「坊主頭」「鼻たれ小僧」「初級」「アマチュア」「なんのひねりもない」「何をしても平均かそれ以下」「あがいても無駄だから引っ込んでろ」etc...
 
・・・らしくない、ということであれば全然良い。
 
私ってつまり・・・、「都会っぽい」「垢抜けている」「華やか」「上級」「プロ」ってこと?(胸熱
 
 
でも、もしこれは私独自の勝手なイメージで、案外世間では「山田」という苗字にもっとハイカラな印象を持っていたら・・・?
書類の記入例でよく用いられるのは、「山田」という苗字こそが全国民の見習うべき憧れの対象であり、誰もが憧れている語呂だから?
山田こそ日本の顔。国民的アイドル。
 
「え~山田っていう苗字なんだ!意外!(山田って聞いてたからもっと美女かと思ったのに!)」
っていう意味だったらどうしよう。
 
 
と、いった具合に山田スパイラルに陥るのであった。
 
 
一応、女に生まれたので「山田」という苗字を卒業できる可能性を秘めている。
だから山田という苗字の男性を避けて生きてきたし、山田じゃなかったらいっそなんでもいいけれど、あわよくばちょっとかっこいい苗字になりたい。
 
昔、「苗字が山田だから」という理由で付き合うのを散々渋った挙句、結局アプローチに負けて山田くんと付き合ったことがあったけれどあとから既婚者だってことがわかったし、やっぱり山田を避けるようにプログラミングされているようだ。
 
 
いつかかっこいい苗字になれることを夢見て、私と妹、山田姉妹はいつも魅力的な苗字の人物に出会ったエピソードを報告しあう。
 
「姉やん、聞いて。今のクラスの副担任の先生、めっちゃゆるキャラで可愛いお姉さんやねんけど、なんて名前やと思う?」
「えっなになに?」
「ゆるぎ先生」
「おおおおおおお!」
 
そして、私が個人的に1番感動した名前が、前職で取引先だった、
 
「蜂須加(はちすか)」さん
 
である。
 
しかも彼のメールアドレスが、「bee@〜.com
 
この自分の苗字をひねるほど、自信があるというのか。
 
 
彼のピカピカに磨かれたアルファロメオで迎えに来られたい。
そして彼の毒針に刺されたい。
蜂須加中毒になりたい…
 
でもきっと、彼にとって私なんか
「お名前は?あっ、山田さんね。
 

    …(笑)」

とか思ってんだろうな!!!!!!

 

 

 

あー、蜂須加になりたい。