みかんがみっかんない

無力なアタシの、不甲斐ない毎日。

喋らなすぎて言葉を失いそうだ

 

 

話の内容が、絶望的におもしろくない子がいた。


誰に対しても分け隔てなく愛想がよくて、仕事に対しても真面目だしそれだけでなく熱くて、会社ではみんなの妹キャラといった明るい子。

私が緊張しながら入社した時も、積極的に話しかけてくれたし本当はめちゃくちゃ良い子。


でも、ただただ話の内容が絶望的におもしろくなかった。

 

「私、テスト前は徹夜で勉強するタイプだった」
彼女は唐突に言った。

この時すでに悪い予感はしていた。始まる、と。


「1週間まえのテスト週間に勉強をしないタイプだったな。前日で追い込む。とりあえず20時~23時までは仮眠をとって、まず数学。これは1時までやる。それから社会を2時半まで。計画的でしょ?それから理科を・・・」

理科の時点で私は震えていた。
何科目話すつもりなのだろうか。
このまま順調に高校に進学してしまったら、科目が増えてしまうじゃないか。

 

彼女の話にはオチがない。
テスト前は徹夜で勉強するタイプだった、もうただそれだけ。
だから何、とかない。ほんっとうにただそれだけ。

3科目ごとに1ポイントつけてもらえて10ポイント貯まったらファミチキが貰える、とかならまあ聞く。
15ポイントで尾崎豊がゆうべのぬくもりに「幸せかい」とそっとささやいてくれて、20ポイントで強く抱きしめてくれる。これなら喜んで聞かせて頂く。


「・・・でもこれでだいたい成績は4だった!」
そこには彼女の満面の笑みがあるだけで、尾崎は不在だった。

オチのない彼女の話は、たびたび聞き手の体力を消耗させた。


私はわりと「この話、こいつ好きだろうな」とか、「この笑いのツボはあいつだな」とか、相手をみて話を選ぶところがある。
でもそれは単に、聞き手への配慮ではなくて、わかちあえる人とわかちあいたいからだ。
わかってもらえない人に自分の感動を伝えることほど、虚しいことはない。

私にとって「話す」とは最終目的に「共感してもらう」ということがあって、そのための手段である。


きっと彼女は、「話す」という行為こそが最終目的なんだろうと思う。手段であり、目的なのだ。

 

そして、相手を選ばずやみくもに話をするそんな彼女には友達が多い。

友達の定義はいったん置いておいて、私はそんな彼女をちょっぴり羨ましく思う。

 

「こいつ面白くないな、と思われたくない」みたいな過剰な自意識があって話す相手を選り好み、結局は孤立している私と違って、友達が多い。

友達が多いことの何が良いかって、何よりその場で堂々と振舞えることだ。

 

私は今まで、狭く深くのスタンスで人と付き合ってきたけれど、それはつまり集団生活において肩身が狭いということだった。

特に職場では、他者とのコミュニケーションが最も必要とされる。

どれだけ優秀なキャリアを持っていても、コミュニケーション能力が欠いてるために活かせないのだ。

 

人と人との仲って、触れ合った分だけ深まってゆくし。

話すことによって自分を知ってもらう。自分を知ってもらうとは、その集団において認めてもらうということ、許してもらうということに繋がるのだと思う。

 

私は今まで、「相手と距離を保つ」ことばかり気にして「相手と距離を詰める」ことをあまり重要視してこなかったな…

 

会社を辞めると、1日のうちに話す相手が特定の1〜2人になるんですよ。

あ、会社にいた頃からだったわ。